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脇昌彦の水彩絵日記

折々に思い感じたことを記した絵日記

No.240 食いしん坊の歴史研究会

砧公園の銀杏

「砧公園の銀杏」 水彩F6



 安曇野を描き始めた頃に、有明山麓の中房温泉郷の有明山荘に初めて訪れた。初夏だった。
中房渓谷沿いの険しい山道を登って行くと、芽吹き始めた山麓に白い山辛夷が点々と咲いている。窓を開けると渓流の瀬音と爽やかな山の空気がなだれ込んでくる。高度を上げると、時折樹間に真っ白なアルプスの峰が見えてくる。
 有明荘は一軒宿で、高い峰々に囲まれて静かに佇んでいた。宿の入り口にお湯が引かれていて、そこに竹ザルと生卵が積んであった。側に置かれた箱に代金を入れて卵を温泉に漬ける。1時間ほどたつと温泉卵になる。翌日宿を出るときはそれを4〜5個ポケットに入れて、途中で食べながら絵を描いた。数年して宿は改築されて綺麗になったが、温泉卵の施設は無くなった。

 その頃から安曇野に来るときは必ずここに泊まることになった。一年で最も綺麗な5月の田植え頃と7月の末がほとんどであった。勤務していた会社の囲碁仲間と来たこともあった。兄弟会を企画してここへ案内をした。絵の教室の生徒を連れてきた。総計すると十五回以上来ているかもしれない。
 この数年事情があってご無沙汰をしていたが、この10月24日に久しぶりにここを訪れた。古代史研究会の月例会で、勝沼の釈迦堂遺跡博物館、八ヶ岳山麓の尖石考古館、安曇野の有明神社を訪ねた。宿は懐かしいこの有明荘まで足を伸ばした。
 好天に恵まれて、遡行する中房渓谷は見事な紅葉であった。翌朝宿の周辺を散策すると、朝日にあたって燃え上がるような色とりどりの紅葉は息を飲むように美しい。思い返すと、秋の紅葉の季節にここへ来るのは初めてであった。

 八ヶ岳山麓の蕎麦屋で更級の十割蕎麦と馬刺しを賞味して、この宿でイワナの塩焼きを食べ、翌日下に降りて穂高神社の近くでおやきを食べて山葵漬けを買った。そして帰路に佐久に立ち寄って念願の「鯉料理」を食べた。鯉のアライ、鯉こく、鯉のうま煮である。
綺麗で、美味しくて、面白い歴史研究会であった。

 はて、何を研究したかって?  え〜と、何だったか。 あそうだ! もう一つ忘れていた。 尖石縄文考古館の近くで山帽子の実を食べたんだ! 真っ赤な小さな実はうす甘い不思議な味だった。

「縄文に食みしか赤い山帽子 金色の草燃える丘にて」   虚空







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脇 昌彦

Author:脇 昌彦
水彩画家(無所属)、個展17回
随筆、小説、原稿、挿絵等

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