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脇昌彦の水彩絵日記

折々に思い感じたことを記した絵日記

No.194 廃校の夏 

廃校の夏「廃校の夏」水彩 P15



 甲斐駒を盛んに描いていた頃は、麓の白州町に頻繁に通っていた。宿泊はいつも「見晴し亭」にする。大武川の最上流の山懐にある静かな温泉宿だった。風呂の窓から北方遥かに八ヶ岳が一望できた。裾野が緩やな綺麗な曲線をどこまでも引いている。初夏には宿の下の小川にホタルが飛ぶ交う。
 泊まる部屋はいつも2階の南側の小部屋にしてもらった。この部屋の窓を開けて上を仰ぐと、甲斐駒ヶ岳の頂上が真上に見えた。
 新緑の5月、このあたりは一面のニセアカシヤの白い花に囲まれる。絵を描いていると上品な香りに包まれて、それだけで幸福であった。この頃、夕食に白い花房の天ぷらが出る。口に入れるとほのかな香りがする。
 何度目かの時に、白州町の中腹に緑に囲まれた古い学校を見つけた。校庭に数人の子供たちがいた。古色燦然とした木造の校舎だった。暗い影の中で、渡り廊下が鈍い反射光を放っている。脱色した板壁が美しい。懐かしさで思わず見惚れた。
 急遽この校舎を描こうと思い立って準備をしていると、先生らしき若い女性がきて話かけてきた。ここは東村山市の林間学校だった。校舎は明治時代の建築で、この夏を最後に解体されるという。
 だいぶ描いて一段落したので木陰で香ばしいほうじ茶を飲み、おにぎりを食べた。仕方ないと思いながら校舎を眺めていた。時の流れは止められない。故郷の大貫小学校の木造校舎もとうに無くなってしまったという。

この絵を描いたのは1998年7月26日、もう18年前も前になる。





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プロフィール

脇 昌彦

Author:脇 昌彦
水彩画廊 suisaiga.jpを是非御覧ください。



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