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脇昌彦の水彩絵日記

折々に思い感じたことを記した絵日記

No.181 金太郎飴

梅雨の公園「梅雨の公園」F6 水彩



 在職中の最期の頃に仕事で香港、中国に3回、ニューヨークに1回行った。53才まで海外に出たことがなく、この時初めてパスポートを作って行ったのは香港だった。発注した金型の検収だった。九龍の暗い工場と事務所で2日過ごしてとんぼ返りであった。現地駐在員に送迎をしてもらったのだが、空気も騒音も人も食い物も何もかもが異質で、現地にいる間中面白くて興奮していた。この僅かな海外体験は実に刺激的であった。
 2度目に香港に行った時、仕事を無事終えると金型屋の社長が食事に誘ってくれた。私は「滅多に来れないので街を歩いてみたい。解放して下さい」と丁重にお願いした。そして夜中まで歩き回った。その時のスケッチも数枚残っている。実に面白かった。
 その後の中国奥地の工場に半月過ごした体験も忘れられない。そこで開発した製品の不良対策をしたのだが、中国人従業員の生活習慣の違いに毎日驚き感心していた。
 これで海外旅行が面白いことを知って、その後在職中に西安、敦煌旅行をして、退職後に台湾旅行を旅行した。敦煌、西安はスケッチが目的だった。経済的にかなり無理をした。
 この少しの経験で知ったのは、海外旅行はただ異質な空気に触れているだけで見るもの聞くもの全てが面白いということだった。

 国内に目を転じると、最近強く思うのはどこへ行っても同じようなスーパー、コンビニ、レストラン、ハンバーガーショップ、喫茶店、パチンコ屋、映画館、デパートがあって、本当に代わり映えがしない。服装も言葉もほとんど同じだ。高速道路と新幹線が日本中を回っている。旅行がつまらなくなった。日本中が金太郎飴になっている。
 だから逆に観光地は無理にその違いを作って演出している。上手くやると観光客が押し寄せる。しかしその違いは演出されたもので、本物ではない。わざわざ昔風の建物を造って昔ながらの食べ物をて売っている。地方から民家を集めたりもする。
 海外も次第に同じような傾向になっていると言う。同じ巨大資本のデパートやコンビニやスーパーが何処の国へも自由に出店するのだからむりもない。

 最近イギリスが国民投票でEUを離脱することになった。この余波でEU諸国も大揺れで、追いかけて離脱する国が出てきそうだ。そうなるとEUが分解して昔のように国境が復活して、通貨はマルクやフラン、ペセタやリラ、ドラクエなどの懐かしい通貨になるかもしれない。国の政治はそれぞれが独自性を発揮できるようになり、お国柄や文化の違いがもっと生まれて、昔のような多様な国家群が出来てきそうだ。多少不便になるが、旅行者にはずっと面白くなるだろう。

 江戸時代の日本は藩の独立性が強く関所が設けられて、通行も規制されていた。だから地方ごとに独自の文化や風土が醸成され、方言が酷くて薩摩と津軽、会津や名古屋では通訳がなければ話は通じなかった。食べ物も料理も藩ごとに独自で多様であった。この時代の国内旅行はさぞや刺激的で面白かっただろう。弥次さんや喜多さんがうらやましい。

 明治になって廃藩置県をして中央集権政府が出来た。人や物の往来は自由になった。東京には地方各地から人が集まったが方言で話が通じない。そのドタバタを面白く描いたのが、井上ひさし著の「国語元年」だ。NHKドラマで放映されて抱腹絶倒した。佐藤敬演ずる強盗が薩摩の女中に会津弁で「金を出せ!」と言うのだがチンプンカンプンだ。

 地方自治をもっと進めて各地の独自性を育てよう。多少不便の方が良い。EUも解散して昔の多様なヨーロッパ諸国を復活しよう。旅行の楽しみが一段と増すだろう。
退屈な金太郎飴はもうたくさんだ。





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プロフィール

脇 昌彦

Author:脇 昌彦
水彩画廊 suisaiga.jpを是非御覧ください。



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