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脇昌彦の水彩絵日記

折々に思い感じたことを記した絵日記

No.158 「インディアンの祈り」

 アメリカ・インディアンの悲惨な歴史は何度か本で読んで知っていたが、この「アメリカ・インディアン悲史」藤永茂著 は鮮烈であった。著者はカナダ、アルバータ大学名誉教授であるが、量子化学を専門とする科学者である。カナダで見聞きしたことから個人的にインディアンに興味を持ち、各地を見聞して調査してこの本を著したという。内容は科学者らしい客観性に裏付けられて、平易で抑制されたものになっている。
 ご存知のようにベーリング海峡が地続きであった時に、ユーラシア大陸のモンゴロイドがここを渡って北米大陸に移り住んだと言われる。アメリカ・インディアンはその子孫で、この広大で豊かな大陸で自然と調和してここに一万年もの昔から平和に穏やかな暮らしを営んでいたらしい。様々な推計値があるが1600年頃の人口はおおよそ5.000万人と言われている。そして多くの独立した部族が集まり大きな連合国家を形成していたという。有名なものはイロコワ連邦という。中央には連邦議会の議事堂があり各部族の代表が集い重要な案件を議論して決済をした。議決は全員一致が原則でそれが得られるまで延々と議論し、それで一致を見ない時は廃案となったという。この連邦は1500年頃にすでには成立していたらしい。そして驚くべきは、アメリカ合衆国憲法はこのイロコワ連邦からおおきな影響を受けているという。
 そしてこの本で感銘したのは、彼らの精神性の高さであった。著者がカナダのインディアン居留地で手に入れた「インディアンの祈り」が翻訳されて紹介されていた。それは西洋文明との根源的な世界観の埋めがたい溝を提示していた。それはまた現代社会への鋭い警告にもなっている。

 おお、大いなる精霊よ。その声を私は風の中に聞き、その息吹はこの世界のすべてに命を与える。大いなる精霊よ。私の祈りをお聞きください。
 私はあなたの前に一人の人間として、あなたの多くの子供達の一人として立っています。私は小さく弱い。私にはあなたの強さと知恵が必要です。どうか私を美の中へ歩ましめ、赤々と焼ける夕空をいつまでも見守らせてください。私の手が、あなたの創ったすべてのものを大切にし、私の耳が、あなたの声を聞き漏らさぬようにさせてください。あなたが私たちに教えになったことども。一枚の木の葉、一つの岩の下にもあなたがそっと秘めた教訓の数々を知ることが出来るように、私を賢明にしてください。
 おお、わたしの創造主よ、わたしは強くありたい。わたしの仲間達に打ち勝つためではなく、わたしの最大の敵、わたし自身と闘うことができるように。
 汚れのない手と、まっすぐなまなざしをもっていつでも貴方の身元にいくことが出来きるように、やがてわたしの命があの夕焼けの空の色のように消えるとき、わたしの魂が何の恥じ入ることもなく、貴方の身元にいくことが出来るようにさせてください。


 この祈りの中に彼らの世界観、大自然に生かされているという喜びと謙虚さと感謝が現れている。そしてすべての責任を自ら負って生きようとする潔さがある。人はこの大自然の一部であるという謙虚なこの認識こそは、日本人や東南アジア人、マヤ、インカ、アフリカ原住民などと共通するものであり、人間中心である白人の西欧文明との根本的な違いだと思う。
 自然もそこに暮らす人々も助け合い持続的に共生する、という基本姿勢がここにある。最小単位の家族、そして部族、民族がおのおの自立して互いに補い合うというバランスの良い民主制も既に1500年頃のここにあったのだ。
 これは日本人の世界観と共通しているし、古くからの日本の農民や漁民が大事なことを議決する方法も驚く程よく似ている。日本の民俗学の名著「忘れられた日本人」宮本常一著 にそれが詳しい。
 部族同士の戦争はもちろんある。勝利した部族は敗北した部族にに同化することを要求する。それに同意しなければその地域から彼らを追放し、同意をすれば同じ部族としてかれらを受け入れるという。その場合は奴隷にしたり差別をすることはなく、まったく平等に生活が出来るという。むろん虐殺や略奪はしない。ものを奪うために戦争はしないという。
 日本人の戦争もこれに良く似ている。降参した敵将が有力な武将に取り立てられ活躍た例は多い。日本の植民地と言われた韓国、台湾、満州国の人々は日本人と同等の権利を与えられた。略奪、虐殺、奴隷化をした西欧の植民地とは全く違うのはその好例だろう。
 又インディアンは開放的で人種差別をしない。それ故逃亡黒人奴隷が数多くインディアン居留地に逃げ込んで暮らしたという。それがまた白人達に憎まれた一つの原因だったらしい。日本が立国した満州国は五族共和を旗印として人種差別を排除して栄えたのだ。

 西欧人の人間中心主義も問題は多いけれど、さらに彼らは狡猾にも絶対神を捏造してすべての責任をそこに押し付けて、自らの責任を回避する。神の名のもとに何億という異教徒や野蛮人(?)を虐殺し、その冨を略奪してきたか、いまだに謝罪も反省も聞いたことがない。神にひざまづいて懺悔したのだろうか?
 文明化した民族は概して穏やかになる。多くの争いから学んで、その欲望を如何に制御し調整して平和に共存するかという難題を克服して文明化したからである。それ故にやさしく穏やかで争いを好まない。
 しかし野蛮人は我がまま勝手で排他的で、暴力で略奪や虐殺をする。だから文明化した民族と未開な野蛮人がが遭遇すれば勝敗は明らかである。野蛮な白人に世界の多くの文明は滅ぼされたのだ。
 そういえば、晩年に西郷隆盛が「西欧人は野蛮だ」と言って、政府の要人と言い争ったという記録が残っている。西南の役の原因の一つではないか?という説もある。
 昔の「インディアンは嘘つかない!」という戯画化したセリフを思い出した。事実200年間の争いの間、白人とインディアンとの休戦条約や契約は300件にもなるが、その殆どすべては白人の都合で破られた。始めから騙すつもりで休戦条約を結び、武装を解除して一カ所に集まった無抵抗のインディアンを、老若男女を問わず全てを虐殺した。何度も何度もである。抵抗や反逆をして虐殺され、妥協して忍従しても結局は同じであった。彼らは誇り高い民族であったので奴隷に向かなかったから、奴隷市場に売られることはほとんどなかったという。
 西部の荒れ果てた保留地に追われて、やっと暮らしていると白人の都合ですぐにそこも追われた。そして彼らの1万年前からの広大な楽園は全て野蛮な白人のものになった。
 白人に気を許してはいけない。野蛮で嘘つきで狡猾である。そして人種差別をする。なにより口先で立派な正義を言い立て、その裏で詐欺まがいのことをする偽善者である。自由、平等、民主主義と叫びながら他国の批判はしても、決して自身は反省をしない。その裏で世界中で戦争を画策して儲けるのだ。ベトナム、ユーゴ、アフガン、イラク、リビア、シリア、そしてウクライナと戦争の種をまいている。この次は日本と中国を狙っている。彼らの巧妙な詐欺的プロパガンダに騙されてはいけない。




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脇 昌彦

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