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脇昌彦の水彩絵日記

折々に思い感じたことを記した絵日記

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No.95 ありふれた死


 このところ私の知人や友人が、数人立て続けに亡くなった。驚きそして残念な思いに捕われるのだけれど、通夜と葬儀を済ませて暫くすると、それをあっさりと受け入れてしまっている自分を発見して驚く。確かに命あるものは死は避けられない。それは極ありふれた自然なことなのだけれど、自分の死を同じように受け入れられるか?と考える。
 一般的に死は本人の自覚出来ぬ間に訪れることが多い。事故等の突然死は勿論本人は自覚しない。病気による死でも、最後まで快復すると思っていることが多い。老衰は無論眠るがごとくに亡くなる。
 昔ボクシングでノックアウトされた経験と、柔道で首を絞められて意識を失った経験がある。意外なことに、いずれも甘美な陶酔を伴う快感であったことを、今でも記憶している。すこし飛躍し過ぎかも知れないが、その少し先には死があっただろう。だから自覚せずに訪れる死は、怖いものではないと想像する。
 しかし予告された死は恐怖である。死刑囚の悲惨さはそこにある。癌の告知も残酷な場合が多い。告知されるとその恐怖が強いストレスになり、抵抗力が激減するという。検査による早期発見と早期治療というけれど、それが良いことなのかどうか? どんな高齢者にでも、死期(それが分かるのならば)を通知したらどうなるかを想像すれば、その残酷さが分かるだろう。患者に「大丈夫です。治りますよ」と言ってあげるのが優しく良い医師であると思う。
 だから死を全く自覚せずに、苦しまずに死ぬのならばいつでも良いと思う。死ぬ瞬間まで楽しく生き続ける人は、死を経験しない。幸福な死を迎えられる。お祝いをしても良いと思う。ポックリさん信仰が盛んなのは理由があるのだ。


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No.94 黒澤明生誕100年映画祭

 7月末に池袋の新文芸座で黒澤明生誕100年映画祭が行われるのを知ったのは、初日から数日してからであった。上映の予定表を急いで入手して、出来るだけ都合をつけて足を運んだ。見ることの出来た映画は「隠し砦の三悪人」「虎の尾を踏む」「白痴」「我が青春に悔いなし」「一番美しき」「悪い奴ほどよく眠る」「椿三十郎」「羅生門」「どん底」「七人の侍」であった。見たかったけれど駄目だった作品は「用心棒」「天国と地獄」「赤ひげ」である。
 今回劇場で鑑賞出来た作品の中で、感動した作品は「羅生門」「どん底」「七人の侍」である。いずれもTVやビデオあるいは不完全なカット版でしか見ていなかったものだ。
 「七人の侍」は40年前の大学の学園祭で上映されたものを見たのが最初だが、上映時間は2時間程度であった。しかしその印象は圧倒的であった。その後サラリーマン生活に見切りをつけて、先ず最初にしたのは「七人の侍」をビデオを見ることであった。その時にノーカット版の上映時間が4時間近くにも及ぶのを知って驚いた。我が家の14インチのブラウン管TVでも、その感動は変わらなかった。特に私が学園祭やTVで見たものは、主として前編の農民が7人の侍を募集する過程が、かなりカットされていることを知った。そしてこの前編あってはじめて、後半の劇的な戦いが一層際立ってくる。どの場面も全てが呼応しあって全体としての芸術作品であって、いかなる部分もカットしてはならないと思った。他の芸術作品は作者の許可なくカットは無論、変更、修正することは出来ないだろう。映画は総合芸術と言われるが、他の芸術作品と違って極めて商業的なものである所以だと思う。そして、白黒映画の利点をいまさらながらに痛感した。カラー作品であったなら、あのリアルな表現は困難を極めていただろうと思う。
 「どん底」との関わりはやはり学生の頃であった。合唱団の先輩から演劇を見に行かないかと誘われて、しぶしぶ俳優座小劇場に行ったのが始まりである。演劇と聞くと私は学芸会を思い出し、今でも時々赤面する嫌な思い出があったのだ。しかしこの時の魂を揺さぶられた感動は今も忘れ得ない。それ以来わたしは演劇ファンになった。そして33年後に黒澤明の映画「どん底」をビデオで見て感動し、そして今回ようやく待望の劇場鑑賞が出来たのだ。長年の期待を遥かに越えた作品であっった。終わってからも暫く感動で席を立てなかった。「七人の侍」は無論であるが、どちらを選ぶかと言えば、この「どん底」こそが黒沢映画の最高傑作と、私は迷いなく思う。
 これらの名作は、黒澤明なくしては生まれなかったのは言うまでもないが、名脚本家の橋本忍の果たした役割が、大変大きかったことを今回知った。そして何にもまして、敗戦後の最大の娯楽であった映画産業の急成長と隆盛が、これらの名作を生み出す土壌となっていたのを、忘れることは出来ないだろう。
 そして黒澤明がスランプに悩み苦しんだことを、自殺未遂事件で知った。絵画の失敗作は発表しないでも済むが、映画は経営上必ず上映しなければならない宿命にある。いくつかの失敗作を見て、人間黒澤明を一層身近に感じた。

 私は早朝自宅を出て、この機を逃したらもう2度と見れないかも知れぬこれらの名作を鑑賞して、合間に持参した弁当を食って、幸福な数日を過ごしたのであった。




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プロフィール

脇 昌彦

Author:脇 昌彦
水彩画廊 suisaiga.jpを是非御覧ください。



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