脇昌彦の水彩絵日記

折々に思い感じたことを記した絵日記

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No.89 運命

「秩父春雪」「秩父春雪」F6

 Nさんは、極端な運命論者である。今の奥さんとの結婚も、定年まで勤め上げた会社への就職もそうだという。足が多少不自由なのだが、若い時に空中に浮いている白い綿のようなものを、誤って吸い込んでしまい、それが原因でそうなったという。それはケサランパサランだという。(これが摩訶不思議なものらしいのだが)
 重賞レースの馬券を30年来買い続けて、一度も当たったことがないと愉快そうに自慢していた。これも運命だと言うのだけれど、なに、大穴ばかり狙うからだと私は思っていた。
 ある日彼の部屋に行くと「当たった、万馬券だ!生まれて初めての当たり馬券だよ。運が廻ってきた」と興奮して嬉しそうな顔をしていた。なんと15万円近くの配当だと言う。上機嫌で、運命論の蘊蓄を傾けていた。数日後に何か旨いものを奢ってもらおうと彼を訪れると、打って変わって沈んでいる。聞くと「家の猫が交通事故にあって、かなり重症なんだ」という。その猫を私は知っていた。アンバランスな白黒の斑模様の寝癖がついたような毛並みで、その上酷いだみ声であった。おおよそ愛想のない猫だった。「獣医に見せたら、手術をすれば助かるって言うんだ。万馬券が消えちゃったよ」と小さな声でつぶやいた。
 定年で退職してからは、山歩きの会を主催して、熱心に山歩きをしていた。向学心のある方なので、種々の講演会にも良く出かけていた。退職して5年程のある日講演会に出かけたと言う。
「満席で、しょうがないから壁際で立っていたんだ。そしたら会場の整理係の女性がこっちを見て、そこのお年寄りの方、って言うんだ。周りを見ても年寄りはいない。そしたらまた、そこのお年寄りの方ここに席があります、ってこっちを見て言うんだよ。変だな年寄りはいないのにって思っていたら、やってきて私の袖を引くんだよ!そうなんだ私だったんだ。全くやになっちゃったよ!」彼は70歳で頭は真っ白であった。
 また自身が類い稀な晴れ男を、自認していた。「旅行はいつも晴れなんだよ。そういう運命の下に生まれたんだね。そう言えば、Kさん知ってるだろ。彼は雨男でね。それも折り紙付きなんだよ。みんな嫌がって旅行に誘わない。その彼と機会があって、二人で泊まりがけの旅行をしたんだ。どうなったと思う?」と私に聞いた。「う~ん、どうなったのよ?」というと、「旅行の間中、晴れたり降ったりでね。慌ただしい旅行だった」と笑った。


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プロフィール

脇 昌彦

Author:脇 昌彦
水彩画廊 suisaiga.jpを是非御覧ください。



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