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脇昌彦の水彩絵日記

折々に思い感じたことを記した絵日記

No.80 不思議なこと

蓼科山

 スケッチ会の下見で、紅葉の蓼科山に出かけた。過去に3度程行ったことがあるが、最後から25年以上経過しているので、下見の必要があったのだ。諏訪南ICを降りて紅葉の八ケ岳西麓を北上した。八ケ岳はこの西側から眺めた方が、絵になることに気付いた。昼頃から順光になるのも好都合である。甲斐駒ヶ岳や両神山は、昼には逆光になって色を失ってしまうので、かなり早く家を出なければいけない。
 ホテルの立ち並ぶ白樺湖畔を避けて、静寂な女神湖畔に車を止めた。湖に優美な山体を写した蓼科山が、一望に見渡せる。その美しい山体を眺めながら、最初に登山したときのことを思い出していた。
 暗い樹林を抜けて、急なこう配の登山道をよじ上った。苦しくて全身から汗が吹き出ていた。漸くたどり着いた山頂は、雲海の中であった。なだらかで広いその頂きは、大きな岩が一面に敷き詰められたように転がっていた。そんな記憶を辿っているうちに、ふと気付いた。
はて? いつ誰と登ったのか、一人だったのか、いや単独登山はありえない。何所に泊まったのか?その他の周辺の記憶が、みごとに全く抜け落ちていることに気付いた。何度も思い出そうとしたけれど、結局無駄だった。なにしろ40年も前のことだ。
 諦めて湖畔を歩いていると携帯電話がなった。大学の同級生であった。
「ご無沙汰だったけれど、どうしてる?」
その声を聞いてはっとひらめいて聞いた。
「今蓼科山に来ているんだ。ところで昔俺と登山した記憶ないか?」
「そういえば、そんな気もするな。俺も登ったよ。たしかお前と一緒のような気がする」
「そうか、そうするといつもの仲間も一緒なのかな?」
「たぶんそうだな。俺も良く覚えていない。う~ん。待てよ、昔のアルバムを調べると分かるかも知れないな?」
私はずぼらで昔の写真は殆ど手元に残ってないが、彼は見かけによらず几帳面だったのを思い出した。
「分かったら教えてくれ。なんだかこのままでは気持ち悪い」
 彼からの計ったようなタイミングの電話も不思議だけれど、その数日後のメールによって私の記憶の空白は、予想もしない意外な事実で埋められたのは、それ以上に驚きであった。 彼から送られてきた何枚もの写真は、私の眠ってた記憶を刺激して、次第にその周辺のことが甦ってきた。学生当時仲の良かった5人の仲間と、2台の車に分乗して白樺湖畔に行き、そこでキャンプをしたらしい。その湖畔で4人の女学生と知り合い、一緒に登山したのだ。しかも帰りは、彼女たちを車に乗せて帰ったのだった。
 人生には不思議なことがあるものだと思う。登山したときの苦しさや途中の原生林や、山頂の光景は鮮やかに記憶しているのに、なぜ楽しく面白かったはずの仲間や女学生との記憶が、全く欠落しているのか? 単なる老人惚けだって!う~ん、そうかもしれないが。
 翌週スケッチ会のメンバーを引率して、女神湖畔に行った。この前と全く同じ場所で休憩をしていると、携帯電話がなった。
「写真見たか?」同じ同級生からで、時間もほとんど同じだった。

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プロフィール

脇 昌彦

Author:脇 昌彦
水彩画廊 suisaiga.jpを是非御覧ください。



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