FC2ブログ

脇昌彦の水彩絵日記

折々に思い感じたことを記した絵日記

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このページのトップへ

No.23 成りゆきまかせ

 40年程前だろうか、義理の兄から聞いた話しだ。兄の高校の恩師の校長先生の話である。
 彼は中学校の頃に自らの人生設計を立てたという。地元の優良高校から、高等師範学校に入学して教師になり、結婚して家庭を持ち、家を建てる。そして教頭になり校長になって定年を迎えると云うような長期計画だったそうだ。そして彼は殆ど計画どうりに自分の人生を歩んで来たと云う。
 兄はその話をいたく尊敬の念を込めて、私に話してくれた。私もそんなことが可能なのか?と驚き感心した。その話はその後の人生の様々な節目で良く思い出した。最初は尊敬の念とそれに比較した自分のふがいなさを感じていたが、次第にその感情は変化していった。
 その計画を実現する為に彼は弛まぬ努力をしたと思う。それを実現するに足る才能もあったのだろう。しかしそれだけではない。長い人生には様々なことが起こり、少しでも油断をすれば頓挫するだろう。多くの誘惑もあったろう。にもかかわらず初期の計画を全うした彼は凄い人だと思う。がしかし一方で、彼はもしかすると、多くの変化に富んだ人生の醍醐味を味わう機会を、失ってしまったのではないか?とそんな思いが私の中で次第に強くなって来た。
 振り返れば私のこれまでの人生は、努力と実力の不足のせいか、殆ど成りゆきまかせにすぎなかった。不本意なことが多かったが、其の反面予期せぬ意外な展開に胸を弾ませることも多く、面白かったと思うことがある。
 自分自身がどう云う才能や能力があるのかは全く分らないし、ましてや将来のことなど予測不能と私は思う。だからそう思い定めて些末なことは成りゆきに任せ、自分自身や世の中の変化に対応し自在にいきていけば良いと、私は思うようになった。基本的な人生観は大事にしての話だけれど。
 私は何十年も絵を描いているけれど、イーゼルを立て画用紙に筆を下ろす時は、上手く描けるかどんな絵になるか、といつも思う。意を決して夢中で描いて悪戦苦闘していると、様々な試行錯誤と偶然があって、思わぬ良い絵が出来ることが多い。
 反対に初めから完成した作品のイメージがあって、それを描こうとする時には上手く行かないことが多い。大作の場合は特にそうなりやすい。現場で描いた作品を元絵にして、それを拡大して描き直すからだ。臨場感を失った動きのない硬い絵になる。
 これを避ける方法は、下絵をあまり煮詰めて描き過ぎないことだ。下絵は参考にはするが全く新しい絵を描くようにして、試行錯誤や偶然の余地を大幅に許して描くことだ。さんざん苦労して上手く描けなくて、もう駄目だ!とやけっぱちでデタラメな色を塗りたくったら、それを契機にして思わぬ良い作品が出来たりする。偶然が味方するのだ。神がくれた御褒美、と私は良く云う。
 人生も良く似ていると思う。予め先のことを決めてかからずに、とにかく一生懸命にやってみて其の成りゆきを楽しむこと。私は最近はそうするようにしている。

スポンサーサイト
このページのトップへ

No.22 木曽義仲の産湯の清水

 10年程前に武蔵嵐山の都幾川周辺にスケッチの場所を探していて、川辺の杉木立の中にひっそりと佇んでいる鎌形八幡神社を見つけた。入り口の石碑にこの神社の由来が書かれていて、征夷大将軍坂上田村麿の創建だと云う。古色燦然とした本殿の右脇には今も清水が湧き出ていて、そこに木曽義仲の産湯の清水と書いた石碑が有る。
 それにしても、木曽義仲がどうして武蔵嵐山で生まれたのか?長い間不思議に思っていたが最近になってようやく日本史を紐解いてみて納得した。
 父は源義賢で源義朝の弟である。源義賢は武蔵嵐山に館を構えて、この武蔵周辺から上州にかけて勢力を張っていて人望のある人だったらしい。義仲はここで1154年に生まれたという。その後義仲二歳のときに父義賢は兄義朝に殺害される。義賢を斬ったのは義朝の子供である義平、頼朝であった。この時に二歳の義仲は母に抱かれて木曽に逃れて、その地で育ったという。
 ここから先は誰もが知る歴史の檜舞台である。源義朝が京に上り保元の乱を経て、平治の乱で平家に破れて殺され、頼朝は際どく助命されて伊豆に流されてしまう。以後平家の全盛時代を迎えて、数十年後に頼朝、義仲が平家追倒の兵をあげるということになる。その時木曽義仲は先陣を切って京に攻め上り平家を追うが、その後頼朝に攻め滅ぼされて、その子の11歳の義高も頼朝の命令を受けた武士に、この地で殺害されたと云う。
 無惨にも義賢、義仲、義高の親と子、孫の三代が全て頼朝に殺されてしまったことになる。頼朝は異母弟源義経も殺してしまったのだった。
この緑美しい静かな武蔵嵐山の片隅に、こんな歴史が秘められていたのだ。


このページのトップへ

No.21 Look at me !

 丘陵の幾重にも重なった茶褐色の雑木林が、微妙な暗いモスグリーンや仄かな赤みを帯びて、やがて明るいグレーに僅かな緑を混色した芽吹きの色に一斉に変色する。日毎に急速に色を変えて、しだいに軽やかな新緑になる頃、仄かな白や薄ピンク色の山桜の花が、その中に滲み出すように点灯していく。このうつろい変化するその精妙な美しさに、私は毎年魅了され一度は描くけれど、殆どなす統べなく決まって降参して、この美しさは神の技なのだと、何時も自らの未熟を棚にあげて言い訳をしている。
 今年はアトリエの移転と体調不良が重なり、とうとう描けずに終わってしまったけれど、やがて今度は鮮やかな新緑と花の季節が訪れる。最も美しく生気沸き上がる季節だ。そしてあのエネルギーに満ちた夏が来る。
 私の心もその季節の自然の息吹きを受けて、その侭に変化して染まってしまうだろう。だから染まりながら又必死に絵筆を取って描こう。それ以上の魅力的なものは何もないのだから。外界に染まってしまった心の侭に、それを描こう。

<Look at me!>
    
心とは何だろう
風のように透きとおり
あるのかないのか
姿なく
花咲く野原と青い空を
煌めきながら吹き抜ける

水に触れればさざ波か
鳶を大空に舞いあげて
はたまた
喧噪の中にまき散らされたスモッグか?

心とは 何だろう
野菜を刻み 肉を切り
コンロの火を着けると
心も 刻み 切り 着ける

悲しい本を読むと 悲しみ一杯になり
ハッピーエンドのムービーで
幸せ色に染めあげられても
一匹の蚊にすら飛び上がる

あなたの視線や眉や白い指先の
そこはかとない ほんのわずかな気配に
私は幾夜も
深夜放送のスイッチをひねったろう
心とは
がらくたをいつも映した万華鏡

わたしの一言に あなたの万華鏡は
激しく煌めき
あなたを映した私の万華鏡も
一層煌めいて燃え上がる

あなたは私を見つめ
私はあなたを見つめ
しかし本当は
互いに自分を見つめ
自分で自分に恋している

Look at me !

心はいつも不思議な万華鏡


このページのトップへ

No.20 魂はあるか

 現代絵画の世界では個性的な絵が評価される。それゆえ公募団体展はその個性を競ってしのぎを削っている。団体内では常に「個性的な絵を描いてください」と叱咤激励されることが多い。だから他人の描いたことのない絵や技法を必死に探して、奇妙な絵を描いている。
 キャンバスに数千個の蝉の抜け殻を接着して描いた絵を見たことも有る。その絵は確かに見る人を驚かした。またカンバスが重くなる程に絵の具と砂を塗り重ねた絵、材木や布や印刷物を張り付けたり、四角い画面の一部に突起をつけるものも有る。又最近では写真を使って製作される絵が増えている。写真を見て描くのはかなり一般的になっているが、写真のスライドをカンバスに投影して、それをなぞって描かれた絵も多い。スーパーリアリズムというのかもしれない。そんな奇妙な絵が溢れている。
 またカンバス一面に薄い小さなひらひらする紙切れが張り付けられいて、それが空調の風に揺らいでいた絵があった。いつもそんな前衛的な絵を描いている作者であったが、亡くなって葬儀に参列してみると、祭壇の両脇に飾られていた2枚の絵は誰もが見たこともない具象の素敵な絵であった。公募展に出品する絵と普段描いている絵を描きわけていたのだった。私は複雑な思いにかられた。
 私は最近は殆ど公募団体展を見に行かなくなってしまった。どの絵もこれでもか!これでもか!と自己主張を押し付けてくる。それは下品なことだと思う。だから見終わると疲れてしまう。そして楽しくない。
 私は個性的な絵を描こうとは思わない。人を驚かそうとして絵を描くのでもない。競争をする為に描くのでもない。只日常の中で心を動かされるものをひたすら描いているだけなのだ。私の個性など有るのかどうかすら分らないし、たとえ有るとしても人に押し付けるものではないと思う。私の魂だってあるのかどうか?



<魂はあるか>

地上を這い回って生きる
ほこりと汗に汚れた肉体
その肉体の獄舎にとらわれた
囚人の夢

独房の窓に切り取られた
青い一切れの空
そこをよぎる白い鳥か

あるようで無い
しかし
無いと言うには
あまりに悲しいから
無いようであると言おう

囚われの身の
悲しさと惨めさを
せめて
薄っぺらな一切れの夢で
紛らわせて
    誤魔化して
ああ
私の魂は
「どん底」のルカ爺さんか

あるようで無い
しかし
無いと言うには
あまりに悲しいから
無いようであると言おう
私の魂

このページのトップへ

FC2Ad

プロフィール

脇 昌彦

Author:脇 昌彦
水彩画廊 suisaiga.jpを是非御覧ください。



<br /><BGSOUND SRC="http://blog-imgs-24.fc2.com/s/e/i/seifu/koi.mid" width=80 height=20 autostart=true repeat=true loop=true><br />
※このブログ内の文章及び画像の無断転載を禁止いたします。 

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。