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脇昌彦の水彩絵日記

折々に思い感じたことを記した絵日記

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No.15 ひそかな確信

<ひそかな確信>

長い歳月を生きて
ひそかに確信しつつあること
それは恥ずかしさなく語れない

学園の欅並木の道を歩きながら
カントやヘーゲルやニーチェの
講議の片言を反芻し
世界の理不尽を
弱さと怠惰の言い訳にし始めた頃から
沈黙が饒舌になり
光が影になって行った

梢から見渡す世界は
全てが未知であり
期待しながらも恐怖におののいて
巣立ち遅れた幼鳥は
我が身を投げ捨てるように
巣立って行った

あれから二十年
旅先の海辺の宿で
鏡の中の
蓄積した歳月を眺めている

あの時に口を空けていた小さな穴
埋めようとするとよけいに大きくなる孤独
近付こうとしてもよけいに逃げてしまう水
何かを得ようとすると決まって何かを失ってしまう


喜びと哀しみ
勝利と敗北
変わらぬものと変わるもの
生と死
どれも実は同じものであったのに
片方だけを追い掛け続けて
疲れ果てた歳月を鏡にうつしている

長い歳月を生きて
今ひそかに確信しつつあること
それを恥ずかしさなく語ることは出来ない

水面に無数の陽が弾け
潮の香に満ちた風が
浜昼顔の咲く砂原をそよいでいく
素足に触れて軋む砂粒

高原の風に揺らぐ唐松
光ながら風のままに身を任せる
野草や名もない花達
ふいに鼻孔に充満する草いきれ
何気なく触れた赤松の樹皮の思わぬ暖かさ
そのなかにあふれている無数の鳥や虫達の声

時間は瞬時に過ぎてしまうけれど
悲しみや苦しみの言葉も
意味を持たない不思議な充足感が
この世界には満ちている
この充足感が
何にもまして大事なものと
本当に確信してよいものなのか
我感ず 故に我有り

ひそかに確信しつつ有ること
自然に逆らわず変化に身を任せ
生も死も喜びも苦しみも
自分も他人も
全てを分別しない豊穣な世界に
身を投げ出してしまえば良いのだと…。

永遠の生を疑わず
充足していた幼い日々
草いきれの中で鳥や虫や魚達と
無心に戯れていた頃も
本当は
生も死も日常であった

そんな光り溢れる世界に
身を任せて充足していれば
それ以上のものは何もないというひそかな確信
ああ何と単純な! 

恥ずかしいけれど
そんなひそかな確信なのです

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No.14 花瓶の椿が咲いた日に

椿咲く

 毎年季節になると、知人から椿を一枝いただく。
心得たもので、一つ二つ咲きかけているが、硬い蕾みの多いものを選んでくれる。
だから貰った時はそんな気は起きないのに、やがて絞りの大輪の見事な花が咲くと、結局絵筆を取ることになって、毎年椿の絵を描いている。
描こうとして見つめると、その妖艶な美しさに一層感動する。自然の造化の摩訶不思議さに驚嘆する。身の周りに幾らでもある、不思議な美の世界の一つだ。


<椿によせて>
                  
三日前に庭先から剪定されて
花瓶に活けられていた
数個の硬い椿の蕾が
一夜のうちに妖艶で華麗な大輪の花を
咲かせていた。

その花は何かの為に咲いているのではなく
ただその時が訪れたので
無心に
ひたすら輝き咲いている

数日の時を待たずに
落花してしまうけれども
今の一瞬の輝きこそが
永遠のときに優ると確信して
ひたすらに輝いている

まず自分自身が精一杯いきいきと輝くことこそ
何にもまして美しく価値あるものと
その椿の花は語りかけている

うつくしき椿の大輪よ!

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No.13 本当のところは

<本当のところは>
                        
                
私は絵を描いている
鉛筆でデッサンして
パレットにひねり出した絵の具で
たった一枚の花や風景を
何日もかけて描く

私は詩を書いている
どこへ出かけるにも
小さなノートブックをポケットに入れて
思い付いたいくつもの言葉を
駅のホームの階段の壁に寄り掛かって
あるいはスケッチに出かけた
野原の草いきれの中で
書いては消し 消しては書いて
一遍の詩を何日もかけて
書いている

絵を描いているけれど
私は絵描きではない
詩を書いているけれど
私は詩人ではない

絵を描いても 詩を書いても
彼方の人たちのひもじさは治まらない
私の頭痛も愛猫の病も治らない
ましてや
愛しい人に会えるようになるわけでもなく
だから
この哀しみや寂しさが癒えるわけでもない

ほんとうのところは
私は絵を描きたくないし
詩を書きたくないけれど
私の絵や詩は
どうしようもない哀しさ寂しさゆえの
涙のように
ただ溢れてこぼれ出るのだ

ほんとうのところは
恥ずかしいけれどそうなのです


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No.12 緑陰静寂

緑陰静寂

 初夏は最も美しい季節だ。だから良く絵を描きに出かける。自宅から近いので奥武蔵の名栗川、高麗川、成木川に出かけることが多い。
 この絵は高麗川の橋の上から描いた。水面に緑の木々や青い空が投影して、川底の石の間を川魚が群れをなして泳いでいる。空気は暖かく充足して、この美しく静寂な世界を柔らかく包んでいる。
橋の上で絵を描いていると、いつの間にかこの世界に溶け込んでしまって、ささやかだけれどかけがえのない幸福な時が訪れる。


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プロフィール

脇 昌彦

Author:脇 昌彦
水彩画廊 suisaiga.jpを是非御覧ください。



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